第3話 避けられない戦いなの?

(突如現れた、謎の戦士たち。クロノらは力を合わせて撃退しようとするが・・・・・・)

「このあたりのハズだけど・・・・・・」
ミッドチルダ北東の海上に、2人の魔導師が派遣されていた。
1人は”AAA+”クラスの実戦経験豊富な魔導師。
もう1人は”AA”クラスの先日配属されたばかりの素人魔導師。
「反応がないな・・・・・・」
クロノはそう呟いて辺りを見回した。
見えるものは青い空と、さらに青々とした海しかない。
「ジュエルシードを見つけたらどうすればいいんだ?」
クロノと同じく空中に静止しているシェイドが訊いた。
「あれは危険な存在だ。見つけたらすぐに封印する。でも心配しなくていい。封印は僕がするから」
シェイドにはまだ実戦経験がない。
クロノはこれからの任務を通じて、シェイドを一人前の魔導師として活躍させるつもりでいた。
「クロノッ!」
不意に聞き覚えのある声がして、2人が振り返る。
そこには漆黒のバリアジャケットをまとった金髪の少女と、狼の耳と尻尾をちょこんと出した女性がいた。
「リンディ提督から話は聞いたよ。またジュエルシードが・・・・・・」
フェイトが悔しそうな表情で言った。
やはりどれだけ時が経っても、フェイトにとってはジュエルシードは悲しき過去を彷彿させるものである。
悲しそうなフェイトを見て、アルフが慌てて言った。
「連中の狙いが何にしろ、あたしたちはジュエルシードを回収すればいいんだろ? だったらさっさと終わらせよう」
フェイトを元気づけるために、アルフはわざと明るい声で言った。
真っ先に異変に気付いたのはアルフだった。
低く不気味な音をたてて何かが近づいてくる。
やはり素体が狼なだけあって、音には敏感なようだ。
数秒遅れてクロノたちもその音に気づく。
「何か来る! 油断するな!」
クロノはすでに音の方向に向かってS2Uを構えている。
シェイド、フェイト、アルフも各々備える。
来訪者は空からやって来た。
赤を基調にカラーリングされた小型艇が迫ってきていた。
「あれは・・・・・・?」
シェイドがクロノに訊いた。
「管理局のものじゃないな・・・・・・。例の襲撃者か・・・・・・?」
小型艇が4人からやや離れた位置で停止する。
と同時に不気味な音も止んだ。
フェイトがバルディッシュを握る手に力を込めた時、小型艇から幾筋かの光が拡散した。
「な、なんだ・・・・・・!?」
シェイドが光を目で追う。
気がつくと、クロノたちは何者かに囲まれていた。
相手は4人。
少なくとも味方ではなさそうだった。
何者かはそれぞれに全く異なる服装だ。
管理局員なら客観的に判別できる衣服を着用しているハズである。
「何者だッ!?」
クロノは執務官としての務めを果たした。
「ジュエルシードをいただく。名乗る必要はない」
栗色の長髪に藍色のケープをまとった女性が言った。
その時、この空間に新たに2つの魔力反応が確認された。
ジュエルシードではない。間違いなく人間のものだ。
それはこの場にいる誰もが分かっていた。
「なのは・・・・・・?」
高速で飛行してくる魔力に、フェイトはそうつぶやいた。
そうだ。これはなのはとユーノだ。
おそらくリンディかエイミィが協力を要請したのであろう。
今回の件に関してユーノはともかく、なのはは全くの無関係である。
しかし正義感の強いなのはのこと、問題の原因がジュエルシードとあれば駆けつけないわけがない。
「新手か・・・・・・」
「そのようだ」
「さっさと片付けるぞ」
襲撃者と思われる4人が、何の前触れもなくいきなりクロノたちに襲いかかった。
「武力行為とみなす! 皆、気をつけろ!」
クロノに言われずとも、3人はすでに戦闘体勢をとっていた。
襲撃者の移動速度は速い。
機動戦にもつれるならば、自然とクロノ、フェイトが中核となって戦うこととなる。
しかし格闘戦を得意とするアルフは、この手の攻撃は苦手である。
トレーニングルームでの模擬戦を見る限り、おそらくシェイドもそうなのだろう。
なのはたちが到着すれば、6対4でかなり有利に戦える。
そうすればシェイド、アルフの戦力不足を補うことができる。
「行くよ、バルディッシュッ!」
『”Yes sir”』
フェイトが相手にするのは、赤い髪にフリルのついた民族衣装をまとった少女だ。
歳のころはおそらくフェイトと同じくらい。
しかしその瞳にははっきりと憎悪の感情が見て取れた。
「あなたたちの目的は?」
フェイトは戦意を見せながらも、対話を試みた。
「私に勝てたら教えてやるよッ!!」
赤髪の少女は両手に細身の剣を持っていた。
金属製のグリップに赤く輝く光刃。
近接戦はフェイトが最も得意とする距離である。
持ち主の意思を察したようにバルディッシュの形状が音を立てて変化する。
フェイトは予想される敵の軌道からわずかに軸をずらすように飛行する。
イニシアティブをとったのはフェイトだった。
敵の裏をかくように素早く接近すると、バルディッシュでの斬撃を見舞う。
「・・・・・・ッ!!」
予想以上に重いフェイトの攻撃に、赤髪の少女はわずかに顔をしかめた。
しかしその攻撃は2本の剣でしっかりと防いでいる。
と、バルディッシュを掴んでいるフェイトの手に奇妙な感覚が走った。
それが何なのか、フェイトには考える余裕はなかった。
なぜなら次の瞬間には、バルディッシュの金色の光刃が喪失していたからである。
「なっ・・・・・・!?」
驚き呆然とするフェイトに、赤髪の少女が攻勢に転じる。
反射的に身を躱すフェイト。
飛行速度ではフェイトのほうがわずかに速い。
なぜあのようなことが起こったか。
考えているヒマはない。
こうなったら今はとにかく距離をとり、遠距離戦に持ち込むしかない。

「なのは、急ごう!」
エイミィから受けた座標に向けて、なのはとユーノはミッドチルダの海上を飛行していた。
ユーノにとっては何となく懐かしい光景であった。
しかしこれから戦闘が行われるとなると、感慨に浸っている場合ではない。
「ユーン君。どうしてまたジュエルシードが・・・・・・?」
「分からない。僕たちには理解できないけど力を欲しがる人は多いんだ」
そんな現実を突きつけられ、なのはは悲しい気持ちになった。
誰もが仲良く、幸せな世界であればいいのに。
擦れていない、無垢な少女が抱くささやかな願い。
しかしそんな世界を築くためには、時には戦うことも必要であるとなのはは分かっている。
だからこうしてレイジングハートを携えて飛ぶのだ。

 クロノやアルフもまた、フェイト同様に苦戦を強いられていた。
純粋な魔法勝負であれば負けることはなかった。
しかしクロノの放つ魔法攻撃はたやすく捌かれ、アルフの拳は敵には届かなかった。
「何者だ? 答えろ!」
巧みに身体を躱しながら、クロノが問うた。
彼が相手にしているのは、栗色の長髪に藍色のケープ姿の女性。
手にした魔法銃による射撃は、生身の人間が回避することは不可能だ。
クロノは絶えず敵に軌道を予測されないように常に高速飛行で回避している。
しかし回避にほぼ全魔力を傾けているため、一切の攻撃をおこなうことができない。
「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウン・・・・・・そんな質問をして何になる・・・・・・?」
「なっ・・・・・・なぜ僕の名前を知っているんだッ!」
クロノの動きが一瞬止まる。
しかしその隙を狙って撃ってくる素振りはない。
「障害となりそうなものは入念に調べ上げる。それが勝利への第一歩となる」
そう言いながら魔法銃を構える。
銃身には奇妙な魔法陣のような模様が施されている。
藍色の光弾が恐ろしいスピードで空間を切り裂く。
威力、速射性とも優れるこの銃は、”AAA+”クラスの魔導師に反撃の隙をまるで与えない。
このままの状態が続けば、クロノの敗北は確実だった。

 格闘戦術に特化しているハズのアルフの拳は、先ほどから空を切るばかりである。
相手のスピードは決して速くはない。
だがなぜか、アルフの怒涛の攻撃は当たる寸前でかわされてしまうのである。
「くそっ! さっきから逃げてばっかじゃないかっ!」
アルフは苛立ちを押さえられずに怒鳴った。
全身を包帯で巻かれたような奇妙な容姿の襲撃者は、アルフから視線を外して言った。
「オレが本気になれば、お前など1秒とかからんぞ」
「へえ、言ってくれるじゃんか・・・・・・」
アルフが再び拳を握りなおして言った。
「じゃあ見せてみなよ。アンタの本気ってやつをね」
「では望みどおりにしてやろう」
襲撃者はまとっている包帯のようなものを丁寧に解きはじめた。
肩の部分が露になっていく。
「・・・・・・!」
アルフは戦慄した。
こいつは人間じゃない。
露出した両肩は黄金に輝く金属製のプレートで覆われていた。
「オレは人間さ。ただちょっと身体をいじっただけだ・・・・・・」
アルフの心を読んだかのように、襲撃者が笑った。
そのプレートがガラスを引っ掻くような音と共に駆動する。
妙な回転音とともにプレートから現れたのは、黄金に輝く2本の腕だった。
「愚かな奴め。自ら死期を早めるとは・・・・・・」
襲撃者の4本の腕(うち2本は義手)には金属製のグリップがしっかりと握られていた。
「すぐに気づくだろう。ここがお前の墓場だってな!」
グリップから黄金色の光刃が伸びた。
4本の剣を振り上げ、戦闘再開の合図をアルフに示した。
「・・・・・・ちょっとヤバイことになったねえ」
アルフは無意識のうちに後退を始めていた。

 一方でシェイドは、予想外に善戦していた。
襲撃者のひとりは他の者と同じく光の剣を用いていたが、シェイドもまた同様の剣を持っていた。
銀製のグリップから伸びる光刃の色は襲撃者が白、シェイドが紫だった。
両者が激しくせめぎ合う。
「なかなかやるじゃないか・・・・・・」
襲撃者は銀髪の女性。
猛々しくも美しい女剣士だった。
「そっちこそ」
襲撃者の剣の腕はかなりのものだったが、シェイドも臆することなく反撃にでる。
2人の力はほぼ互角と思われた。
剣を振り上げるたびに、風を切るような低いうなり音をあげる。
光刃が交わるたびに接触部がほのかな光を放つ。
シェイドが剣を振りかぶり、襲撃者がそれを躱す。
逃げ場の多い空中戦では、相手の攻撃をかならず防御しなければならないわけではない。
可能ならば半歩分ほど身を退き、相手の攻撃の隙を狙うこともできる。
だがシェイドはそうはさせなかった。
フォローの効かない大振りの一撃を振るっているように見せかけ、実は防御も兼ねた攻撃を意識している。
攻防一体のシェイドの剣技を前に、襲撃者はうかつに踏み込むことができない。
だが体力的な面ではシェイドは不利だった。
歳の割には小柄な体格のシェイドは、おそらく日々鍛錬を怠っていないであろう襲撃者の一撃の重みを恐れている。
相手の攻撃を受け止めるのではなく、受け流す戦法に切り替えるシェイド。
競り合いになれば不利になるため、型のバリエーションで勝負に挑む。
「増援が来たようだね」
そう言うと、襲撃者はシェイドから距離をとり始めた。
シェイドは追うことなく、その場に静止する。
たしかに2人の魔力反応が近づいてくるのが分かった。
「なのはっ!」
近接戦に持ち込もうとする襲撃者から距離をとりながら、フェイトが叫んだ。
白いバリアジャケットに身を包んだ少女。
靴には桜色の翼。
そして平時はフェレットの姿をしている、もう1人の魔導師。
「フェイトちゃんッ!」
友だち想い。そんな言葉がそのまま当てはまるなのはは、考えるより先にフェイトの元に向かっていた。
2人でならなんだってできる。なのははそう考えている。
フェイトを狙う襲撃者に、なのはは愛杖レイジングハートを向ける。
距離は十分にあった。
なのはの最も得意とする距離である。
話し合いが大切だ、と言ったのは他ならぬなのはだ。
しかし8人がそれぞれに戦っているこの状況からは、有効な交渉など到底望めそうにない。
ならば、となのはは集中した。
これ以上、戦いを続けさせないためにはどうすればいいのか。
簡単だ。戦いを終わらせればいいのだ。
「レイジングハート、お願い・・・・・・」
「”Yes my master”」
デバイス、レイジングハートが応答した。
(みんな、少し離れて)
なのはが思念通話を送った。
それぞれが1対1の戦闘を行ってはいるが、各々の距離はそれほど離れてはいない。
タイミングを合わせ味方が後退すれば、襲撃者だけを一箇所に集められる。
「スターライト・・・・・・」
レイジングハートの先端に魔力が収束される。
強固な結界をも打ち抜く、なのはの必殺技だった。
戦いを好まないなのはが、第一撃にこの技を使うことにはためらいがあった。
しかしここに来るまでに、ある程度の戦況をエイミィから告げられていたのだ。
仲間が苦戦を強いられている。
今は話し合いができる状態ではなさそうだ、と。
ならば一度、乱戦を中止するような形で大型の魔法を放ったほうがいいと判断したのである。
この判断を後押ししたのはユーノだった。
チャージに多少時間がかかるものの、今なのはを狙う敵はいない。
(シェイド、合図したら離脱するんだ)
ただ1人、なのはの力を知らないシェイドにクロノが思念を送った。
(ああ、分かった)
なのはの事はよく知らないが、何をしようとしているのかは分かる。
シェイドは光刃を敵に向け、その作戦を悟られないように演技した。
襲撃者たちはなのはの存在を確認しつつも、戦闘をやめようとしない。
魔力がさらに収束される。
タイミングを計る4人。
(今だッ!)
クロノがシェイドに思念を送った時、フェイト、アルフが一気に距離をあける。
「ブレイカーーッ!!」
収束された魔力が一気に放出される。
遠距離からながら、その狙いは確かだった。
桜色の魔力の豪流が、留まっている襲撃者たちに注がれる。
「イエレドッ!」
銀髪の女性が叫んだ。
「任せておけ」
アルフが相手をしていた襲撃者が、前に出た。
(まさか、あれを受けようってのかい!?)
アルフは驚きを隠せない。
イエレドと呼ばれた男は4本の光剣をX字に構えた。
スターライトブレイカーが怒涛の勢いで迫る。
だがイエレドも、他の襲撃者たちも動じない。
そしてそれは起こった。
超威力のスターライトブレイカーは、4本の光刃にまるで吸い込まれるようにして消えていく。
眩いばかりの閃光が辺りを包んだ。
数秒が経ち、桜色の魔力は消えた。
襲撃者は・・・・・・無傷だった。
何事もなかったかのような涼しい顔をしている。
変化があるとすれば、イエレドがわずかに後方に押し返されていたこと。
なのはの魔法攻撃を吸収した光刃は一瞬桜色に輝いたが、すぐに元の黄金色に戻った。
「そんなっ・・・・・・?」
誰しもが驚愕したが、最もショックが大きかったのはやはりなのは自身だった。
その時、襲撃者の1人がなのはに魔法銃を向けた。
「なのは、よけろっ!」
クロノが叫んだが間に合わなかった。
なのはは敵の攻撃を予測して、バリアを展開していたのだ。
周到なハズのこの行動が仇となった。
銃口から藍色の光弾が発射される。
なのはは目をキッと見開き、その攻撃に備えた。
だが、
「あああ・・・・・ッ!?」
光弾はバリアをすり抜け、なのはの身体を貫いた。
凄まじい衝撃と痛みが襲う。
意識を失ったなのはの手からレイジングハートが滑り落ち、なのはが後を追うように転落する。
「なのはッ!!」
フェイトが最高速度でなのはの下方に回りこみ、その身体をしっかりと抱きかかえた。
落下したレイジングハートは、海面すれすれでユーノがキャッチした。
襲撃者たちに戦闘の意思はないように思えた。
なぜなら彼らの持つ光剣からは光刃が消えていたからである。
フェイトは魔法銃を持つ襲撃者をにらみつけた。
「オレたちはメタリオン。誇り高きムドラの民だ」
イエレドが低い声で言った。
「メタリオン・・・・・・」
クロノが呟く。
「あんたの名前は?」
アルフが言った。
「黄金の剛騎士・イエレド」
イエレドの義手が不気味な音を立てる。
「両刃の騎士、ツィラだ」
赤髪の少女はフェイトに向かって言った。
「白刃の騎士、ミルカ」
シェイドと戦った銀髪の女性が髪をなびかせて言った。
「閃光の狙撃手、レメク」
魔法銃を手にした女性がクロノを見据えた。
彼らがどういう意図でそうしたのかはともかく、彼らは名乗ったのだ。
「私は・・・・・・」
フェイトもそれに応えるべく口を開いた。
「時空管理局魔導師、フェイト・テスタロッサだろ? それと使い魔のアルフ」
ツィラが吐き捨てるように言った。
「で、その倒れてる奴が高町なのは。いつも一緒にいるのはユーノ・スクライア」
「なぜ僕の名前を・・・・・・?」
ユーノが半分恐怖を織り交ぜたような表情で言った。
「で、お前が執務官のクロノ・ハラオウンだな」
クロノは何も答えない。
「でも1人だけ知らない奴がいるなあ・・・・・・」
ツィラはおもむろにシェイドを見た。
「そっちは名乗ったんだ。僕も一応言っておくよ。シェイド・B・ルーヴェライズだ」
シェイドは紫色の光刃をツィラに向けて言った。
「ふ〜ん。ま、覚えておくよ」
興味なさそうにそう言うと、襲撃者たちは辺りを見回した。
「どうやらジュエルシードはどこか別の場所に移動したようだ。ここに用はないな」
イエレドが中空に停止したままの小型艇に飛び乗った。
他の襲撃者たちもそれに続こうとする。
「待て! お前たちの目的は何だ?」
S2Uを構えてクロノが問うた。
「ムドラの復活さ」
答えたのはツィラだった。
「ムドラの復活? どういうことだ?」
クロノが再び問いかけた時には、襲撃者たちはすでに小型艇に消えていた。
「待てッ!」
追おうとするも小型艇の初速は速く、次の瞬間には領域を離脱していた。
「逃げられたか・・・・・・」
クロノは艇が去った方向を忌々しげににらみつけた。
「でも逆に助かったかも」
シェイドがクロノの横に並んで言った。
「僕たちに勝ち目はなかった。そうだろ?」
クロノはまるで聞こえていないみたいに、ただ呆然と地平線を見ていた。
「なのは・・・・・・」
腕の中で意識を失っているなのはに、フェイトはそっと声をかけた。
レイジングハートを手に、ユーノもなのはに呼びかけた。
「なのは・・・・・・」
眠っているようななのはの顔を見ながら、ユーノは先ほどの出来事を反芻した。
「僕は見てた。なのはのバリアが貫かれたんだ」
「うん・・・・・・」
フェイトはただなのはの容態が心配なのか、ユーノの言葉をほとんど聞いていなかった。
「とにかく戻ろう。エイミィがさっきの戦いを記録してるハズだ」
自分の力が全く通用しなかったことにクロノは悔恨した。
おそらくはフェイトやアルフもそうだろう。
ジュエルシードを再び回収し、かつ敵の真意を探る。
そのためには敵を知らなければならない。

 

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